なぜ、浅村栄斗はソフトバンクではなく楽天に移籍したのか?

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2018年にフリーエージェントの権利を獲得した埼玉西武ライオンズの浅村栄斗内野手が20日、東北楽天ゴールデンイーグルスに入団の意思を伝えました。

浅村栄斗選手と言えば、広島東洋カープの丸佳浩外野手と並ぶ、今シーズンFA選手の目玉。

西武の渡辺久信シニアディレクター兼編成部長からは残留を熱望され、獲得には福岡ソフトバンクホークス、オリックスバファローズ、楽天の3球団が獲得に手をあげました。

当初、移籍先には4年25億円以上という破格の条件を打ち出したソフトバンクが優勢と言われていました。

浅村選手はなぜ、移籍先に楽天を選んだのでしょう。

そして、なぜ西武からのFAによる主力選手流出が多いのかを検証しました。

浅村栄斗とはどんな選手なのか?

2008年10月30日に行われたプロ野球ドラフト会議で西武から3巡目指名を受け、名門・大阪桐蔭高等学校から契約金5000万円、年俸600万円という高い評価で入団した浅村栄斗選手。

大阪桐蔭では1年秋からベンチ入りし、2年夏からは二塁手としてレギュラーに定着します。

3年になると新チームのショートを守り、2008年の第90回全国高等学校野球選手権大会では1番ショートとして大阪桐蔭の優勝に貢献しました。

高校通算22本塁打で、好守強肩、強打の内野手です。

プロ入り後は1年目こそ出場がないものの、2年目の3月31日のソフトバンク戦で代打としてプロ初出場し、レフトにタイムリー2ベースを放って、プロ初安打と初打点をマークしました。

長らく守備位置は固定されず、時には外野を守ることもありましたが、2年目以降はすべてのシーズンで100試合以上出場し、完全にレギュラーに定着します。

以降は西武の中心選手として華々しい活躍を続け、2017年には平成生まれの1000安打到達者第一号、2018年には西武の日本人選手として初めて3割30本塁打100打点をクリアしました。

FA権利行使段階で28歳と若く、打率.310、32本塁打、127打点というキャリアハイの成績を記録。

まさに最高の条件、タイミングでFAを宣言したと言えますね。

なぜ西武から主力のFA流出が多いのか?

私の知り合いの西武ファンは、ストーブリーグに野球の話を持ち出すと「この時期の西武ファンに野球の話をするなんていい度胸してるね!」と自虐的に言います。

実は、西武はFAによる選手の流出が12球団で最も多いのです!

西武/石毛(94年)、工藤(94年)、清原(96年)、豊田(05年)、和田(07年)細川(10年)、帆足(11年)、片岡(13年)、涌井(13年)、岸(16年)、野上(17年)、浅村(18年)

日ハム/河野(95年)、片岡(01年)、小笠原(06年)、森本(10年)、鶴岡(13年)、大引(14年)、陽(16年)、増井(17年)、大野(17年)

オリックス/石嶺(93年)、山沖(94年)、中嶋(97年)、星野(99年)、加藤(01年)、寺原(12年)、糸井(16年)

横浜/谷繁(01年)、門倉(06年)、相川(08)、内川(10年)、村田(11年)、山口(16年)

広島/川口(94年)、江藤(99年)、金本(02年)、新井(07年)、大竹(13年)

ヤクルト/広沢(94年)、川崎(00年)、稲葉(04年)、石井(07年)、相川(14年)

ソフトバンク/武田(98年)、工藤(99年)、若田部(02年)、村松(03年)、杉内(11年)

阪神/松永(93年)、仲田(95年)、 平野(12年)、久保(13年)、大和(17年)

ロッテ/田村(96年)、小林(10年)、成瀬(14年)、今江(15年)

中日/落合(93年)、前田(01年)、野口(05年)

巨人/駒田(93年)、小久保(06年)、サブロー(11年)

近鉄/金村(94年)、山崎(97年)、大村(04年)

これは補償がともなうFA移籍のリストですが、西武はなんとFA流出が12人!球団が消滅した近鉄は比較対象になりませんが、巨人と中日の3人と比較すると、その多さに驚きます。

西武からFAでの移籍が多いのはなぜでしょう。

まず環境面での理由が考えられます。

西武が本拠地とする西武ドームは、もとは屋根のない西武ライオンズ球場でした。

1999年に、既存施設に後からドームの屋根を架設するという異例の建設方式によって、日本で5つ目のドーム球場として生まれ変わりました。

しかし、この西武ドームの評判がすこぶる悪いのです。

「西武ドームで仕事をしていたとき、特に夏の蒸し暑さがまるでサウナのようで、とにかく暑かった。逆に春先や秋になると冷たい風が吹き抜け、ガタガタ震えるように寒い」

というのは、西武ドームで働いていた従業員のコメント。

空調が完備された他のドーム球場とは違う、選手にとっても過酷なグラウンド環境がうかがえます。

さらには、人的な要素、つまり元西武ライオンズ代表取締役専務兼球団本部長であった根本陸夫氏の存在をあげる人も多いようです。

球界に広い人脈を持ち、いくつもの大型トレードを成功させたり、有望アマチュア選手の囲い込みによる入団など、様々な手法を次々と編み出して球団編成に手腕を発揮しました。

その人間性に心酔する選手も多く、石毛宏典選手や工藤公康選手は根本氏を追って福岡ダイエーホークスに移籍したと言われています。

もちろんプロ野球選手ですから、年俸を含め、より高い評価を求めての移籍もあるでしょう。

さまざまな要素が移籍の理由となることを考えると、西武にはそれに当てはまる条件が多いのかもしれませんね。

メディアが語らない、浅村の楽天移籍にまつわるウワサ

では浅村選手の場合はどうでしょう。

西武ドームを初めとするプレイ環境の改善をめざしたとする理由はあるかもしれません。

また、より高い報酬を希望したとしても、選手の正当な権利であるFAを使ってより高額な年俸や長い契約年数を求めるのは普通です。

しかし、それが理由であれば最も条件がよかったのはソフトバンクのはず。

福岡ヤフオク!ドームは空調を完備し、日本で唯一の屋根開閉機構を備えるなど、国内随一の設備を誇る球場です。

4年25億円と言われるソフトバンクの条件提示は、楽天の4年20億円よりもはるかに上です。

浅村選手が楽天を選んだ理由は、他にありそうです。

ひとつめの噂が、浅村選手が交際中の恋人が関係しているというものです。

浅村選手の恋人はフリーアナウンサーであり、特に楽天関係の仕事が多いというもの。

実はこれはかなり有力な噂で、シーズン中から浅村選手の楽天移籍は確実、という声が多かったのはこのためです。

さらには現在、楽天のGMを務める石井一久氏、元西武のエースで同じくFAで楽天に移籍した岸孝之選手、兄貴分と慕っていた渡辺直人選手など、西武時代に親交のあった人物が楽天に在籍しているのも大きいでしょう。

こうした親しい人たちのために、今年最下位に沈んだ楽天を、自分の手で上位に引き上げることを目標に移籍を決めた可能性が高いと言えます。

とかく「どうせお金目的」と言われがちなFA移籍ですが、浅村選手のように男気にあふれた移籍理由ならば、多くのファンが応援してくれることでしょう。

2019年シーズンの西武vs.楽天の試合に、見所が増えたのはプロ野球ファンとしては嬉しいかぎりですね。

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